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はじめての刃物(続)

(続)

背中のカッティングの後、前を向くように言われた。

正座していた足はブラブラで立つのに時間がかかる。

なんとか手をテーブルについて、全体重を腕で支えるように立ちあがった。

ヨタヨタ身体の向きをかえ、鬼畜様と迎え合わせに正座した。




下を向きながら叫んだりしたのもあって、顔中涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。

鬼畜様に顔を向けてからハッと気づき、整えようと手を顔に伸ばした。

「おい!触るな!」といきなり言われ。

「申し訳ありません。ぐちゃぐちゃなので...。」と、また整えようとした。

「触るなって言ってんだろ!いいか、俺の大事な時間なんだ、じっとしてろ。」

そう仰って、私の乱れた髪の毛を丁寧に丁寧に整えてくださり、

ティッシュを鼻に当てて「ほら、チーってかめよ。」と何度も鼻をかませて下さった。




整え終わって、体勢を立て直し、鬼畜様の目を見る。

じっと見つめ合う。 甘いキスをくださった。

顔が離れる。 でも目は見つめたまま。

私の胸の真ん中にカッターの刃が刺さる。

目を見つめたまま、刻まれる。

痛みで私の瞼がかすかに動く。 でも声は出さない。 目もそらさない。

また甘いキスを頂く。

また顔が離れる。 目を見つめたまま刻まれる。

繰り返し.... 繰り返し。

刻まれながら、何度でもこの目を見たいと思った。

この眼差しが見られるなら、ずっとずっと刻み続けられてもいいと私は思った。



写真 (2a)



髪の毛... 整えて頂いたのに、鼻水やら涎で毛先ぐにゃぐにゃですね笑。


































元嘘月
Posted by元嘘月

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